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多期間モデル

背景

通常のポートフォリオ最適化モデルは一期間モデルと呼ばれ、 現在一回きりの投資の結果としてもたらされる富の分布を何らかの意味で最適化しようというものです。 多期間モデルは将来の投資の組替えも考慮に入れ、全体として得られる富の分布を最適化しようとするものです。 このポートフォリオ最適化モデルはポートフォリオの組入比率を変数とすると非線形最適化問題として定式化されるため、 非常に扱いにくく現実的な問題において解を求めることは困難とされていたのですが、 慶應大学枇々木先生の多期間最適化モデルの登場により線形計画問題に帰着され、 現実的な問題に応用できるようになりました。

多期間最適化イメージ

ただ、数理計画モデルが準備できても、将来にわたる各アセットの価格変動シナリオを構成しなければならない、 など実際にモデルを実装する上で必要な準備はそれなりに手間のかかるものでした。 FIOPT は統計解析パッケージ R とオプティマイザ Numerical Optimizer を結合して、 多期間最適化問題の解を求める一連のプロセスをビジュアルに表現することができます。

FIOPT による実行フロー

以下は多期間最適化モデルを FIOPT によって表現したフローです。

多期間最適化フロー

右上にある「多期間モデル」アイコンが多期間最適化問題を解くものですが、 その前段「相関を持った価格と金利の発生」アイコンでアセットの価格シナリオを生成するのに、 統計解析パッケージ R を用いてモーメントマッチングや Quadratic Resampling と呼ばれる処理を行い、 乱数の質を向上させています。

多期間最適化モデル

慶應大学枇々木先生提唱の多期間最適化問題(シミュレーション型モデル)そのものを表現するアイコンです。 アセットの価格変動シナリオを入力し、組み込みのオプティマイザ Numerical Optimizer が解を求めます。 複数の期を通した富全体の分布は複雑で正規分布を仮定することはできないので、 下方部分積率をリスク尺度として用いています。

多期間最適化モデル

相関行列のキャリブレーション

各アセットは他のアセットおよび、 そのアセット自身の前後とも相関していると仮定してシナリオを発生させることにしています。 相関を示す相関行列は定性的な予想に基いて人間が生成するものですが、 相関行列は正定値である必要があり、さもなければ技術的な理由により、 シナリオを発生させることができないという制約が実務家を悩ませていました。 実は、この問題は半正定値計画問題という特殊な最適化問題を解くことによって解消可能であることが知られています。 「相関行列キャリブレーション」というアイコンがその最適化問題を解く処理に対応します。 ここではこのアイコンの働きによってユーザーが正定値でない相関行列を与えているにもかかわらず、 無事にシナリオの発生が可能となっています。 相関行列の補正を実際に確認するため、補正前と補正後の相関行列の固有値を表示していますが、 一番小さな固有値の値が 0 (実際には正の小さな数) となり、 相関行列は意図通りに補正されていることがわかります。

相関行列キャリブレーション