NUOPT V12 の新機能等を紹介いたします。
1. 非線形計画問題におけるパフォーマンスの向上
一般の非線形最適化問題に対するアルゴリズムである、信頼領域に基づく
内点法
/
外点法
の性能を向上させました。
信頼領域法
では、解近傍で超一次収束させるためのニュートン方向と、
解から離れている場合にも
大域的な収束性
を保証するための降下方向の二つの方向を適宜用いて反復計算を行いますが、
降下方向に
ヘッセ行列
の固有値などの、より現実的な問題の情報を反映させることで
特に難しい問題に対するパフォーマンスを向上しました。
さらに、一般に有効なスケーリングが難しいと言われている一般の非線形最適化問題に対する
スケーリング手法
を開発、チューニングの結果、産業界で現れる実際的な問題に対する全般的な性能を向上させました。
特に良い初期解が得られないケースで、その効果は顕著に現れます。
その結果、反復の停止条件を 1.0e-8 と以前に比べて 2 桁程度厳しくしているにもかかわらず、
非線形計画問題に関する
ベンチマーク問題
CUTE 459問について、
ほぼ 9割の404 問について全くチューニングせずに
局所的な最適解
を得ることに成功しています。

2. メモリマネジメントの機能増強
権限の低いユーザ環境においても最大使用メモリ量の設定を行えるようになりました。

3. 整数計画問題に対する分枝限定法の改善
最新のヒューリスティクス
( diving、feasibility pump、etc..)及び
切除平面
(Gomory Mixed Integer cut、 Mixed Integer Rounding cut)の技術を導入することにより、
整数計画問題に対する
分枝限定法の性能が改善されました。
特に
実行可能解
を見つける速度が向上し、得られる実行可能解の質も大幅に改善されています。
V12 では MIPLIB3 の問題で、65 問中 17 問の問題で速度の改善がされました。
次のグラフは、MIPLIB3 の一部(arki001、danoint、mkc、swath、dano3mip、fast0507、set1ch)を除いた問題に対する
NUOPT V11 と V12 の計算時間の速度比較です。縦軸が各問題、横軸が計算時間(秒)になっています。
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4. Mac 版発売
兼ねてからご要望が多数ありました Mac 版 NUOPT を新発売いたします。 対応の環境は Intel プロセッサ搭載の Snow Leopard となっております。 Windows で標準搭載されている GUI は対応予定はございませんが、コアの計算部分については当然 Windows 版 UNIX 版 Linux 版 と等価なものとなります。 ご興味がある方は是非ともお問い合わせください。

5. 最新の開発環境への対応
NUOPT V12 より Windows 7 に対応いたしました【注】。 また、Windows 版において最新の開発環境である、Microsoft Visual Studio 2010 に NUOPT V12.1.5 より対応いたしました。 なお過去のコンパイラ(.NET2003、VS2005、VC6)もサポートしておりますので過去の資源も無駄になりません。
【注】一部機能(GUI のプロジェクトボードにドラッグされた .csv ファイルのビュー)をご利用頂けません。
